喜茂別町の取り組み
- 導入事例(公共施設)>
- 喜茂別町の取り組み
ゼロエネルギーの町営住宅で
新規就農者をサポート

北海道喜茂別(きもべつ)町は、札幌市と隣接する農業の町で、羊蹄山東部の麓にあり、総面積の77%を森林が占める緑豊かな農村地域です。また、清流日本一と言われる尻別川の上流に位置し「水の郷」にも指定された自然豊かな地域で、「アスパラガス」「ジャガイモ」「トマト」などが特産品です。特にホワイトアスパラは、クレードル興農の缶詰として知名度が高く、道内外の方に愛され高級食材として利用されています。喜茂別は冬の最低気温がマイナス30℃を下回ることもあるという道内でも有数の極寒冷地域。基幹産業である農業振興の一環として、新規就農者の子育て世帯に冬場の暖房費を大幅に削減した環境対応型町営住宅を提供しています。
若者世帯の就農を応援する環境住宅
基幹産業の農業を守るには、後継者の確保や新規就農者にとって魅力のある施策が必要でした。また、地区にある僻地小学校の存続も課題となっていました。そこで鈴川地区に平成24年に木造2階建て1棟2戸の町営住宅をつくったのです。この建物は、地中熱ヒートポンプの研究者として著名な大学教授の協力のもと、建物単体のエネルギー収支がほぼゼロになることを意味する「Net Zero Energyの町営住宅」というコンセプトで作られたものです。地中熱ヒートポンプ導入にあたり、サンポットさんには環境配慮型のローエネルギー住宅むけのユニットを新たに開発していただきました。
この住宅用に
地中熱ヒートポンプを新規開発
この町営住宅に入居すると、暖房費の負担がありません。システムに必要な電力は、屋根に設置された太陽光発電システムで供給する「ゼロエネルギー住宅」だからできること。理想的なパッシブハウスを実現したわけです。またアースチューブと全熱交換型換気扇を導入し、火を使わず空気を汚さない暖房を実現、子育て世代にも安心の住宅環境が誕生しました。住宅の横に設置した機械室では管理パネルで地中熱ヒートポンプシステム、太陽光発電システムの使用状況を見える化、常にデータをとりながら、エネルギー使用量の最適化を図っています。


次世代型住宅より
二酸化炭素を 80%削減
町営住宅の建築工事費だけで比較すると、地中熱ヒートポンプシステムの導入は確かに割高です。しかし寒さの厳しい当地において、灯油などを一切使わなくても暖かく快適で、光熱費もかからないことは、子育て世代を呼び込む大きなメリットになります。これからの自治体は、環境性や快適性、ランニング費用などを踏まえた多角的なコスト検証が必要です。快適な住環境と温暖化対策の両立を果たした町営住宅のデータ検証を今後の施策に生かしていきたいと考えています。
